付加価値志向のコンサル・士業者の必読の書「年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書」(by 和仁達也)

本書は、中小企業を対象として年間報酬3000万円を超えるコンサルタントになるための「教科書」である。現役コンサルタントコンサルタントを目指している方だけでなく、「安さ優先」の価格競争ではなく「付加価値優先」の価格競争を志向する士業者にも向けられた本であり、中小企業を顧客とする士業には色々と考えさせられ、参考になる本である。

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「年間報酬3000万円超の独立系コンサルタント」のゾーンを目指す

世の中には、年間報酬1000万円未満のコンサルタントが数多くいる一方で、大前研一みたいな年間報酬1億円超の「大御所」「戦略系コンサルタント」もいる。

ただ、「大御所」「戦略系コンサルタント」が高額の報酬を受け取ることができるのは、そもそも顧客企業が高額報酬の支払が可能な大企業であり、また、そのコンサルタントに「過去の実績」や「ネームバリュー」などといった高額報酬を正当化するバックグラウンドがあるからだ。そのため、

ほとんどの人は、「戦略系コンサルタント」や「大御所」を目指すことは極めて困難だということです。(26頁)

ところで、「年間報酬1000万円未満のコンサルタント」と「年間報酬1億円超の大御所・戦略系コンサルタント」の間には、「年間報酬3000万円超の独立系コンサルタント」というゾーンがあるそうだ。「年間報酬1000万円未満のコンサルタント」は、「年間報酬1億円超の大御所・戦略系コンサルタント」ではなく、「年間報酬3000万円超の独立系コンサルタント」を目指すのが現実的だということのようだ。

なぜ「年間報酬1000万円未満のコンサルタント」から抜け出せないのか

年間報酬1000万円未満のコンサルタントから抜け出せないのは、受け取る報酬が安いから、ということのようだ。

個々のコンサルタントのキャパシティの限界を考えると顧客数は10社が限界。なので、報酬月額を5万円~10万円とすると、自ずと、年間報酬が1000万円いくかいかないか、という程度になってしまい、「年間報酬3000万円超の独立系コンサルタント」にはなれない。

そうなると、「顧客数を増やすか、それとも単価を上げるか」ということになるが、広く浅く付き合いたいのであれば効率化して数を増やす方向になり、狭くても深く付き合いたいのであれば単価を上げる方向になる。

著者は後者を志向し、そのための様々なヒントを本書に盛り込んでいるわけである。

報酬額を上げるにはどうすればよいか

ターゲット選びで報酬も決まってしまう

狭くても深く付き合う方向で「年間報酬3000万円超の独立系コンサルタント」になるためには単価を上げる必要があるわけだが、ターゲットとするクライアントを選んだ時点で、報酬も自ずと決まってしまうとのことだ。

個人の場合は、高額の報酬を支払うことはそもそも難しく、1時間のカウンセリングに5000円を払うのも勇気が要ることすらある。

他方で、企業や企業経営者であれば、そのコンサルティングが利益に繋がるのであれば、経費として5万円くらい払うのも問題ないことがほとんどだ。

なので、個人をターゲットして報酬単価を高額にするのはそもそも無理であり、単価を上げて「狭くても深く」を志向するのであれば、高額報酬の支払が可能な企業や企業経営者をターゲットにすべきだということのようだ。

 商品化しないとタダになってしまう!

コンサルティングのような無形サービスは目に見えないので、対価を払ってもらうためには、きちんと商品化することが非常に大切だ。

僕が手掛けているコンサルティング・ビジネスは、無形サービスを商品としてパッケージ化することが重要です。なぜなら、扱っているものが形もないし目にも見えないので、きちんと名前と価格をつけて商品として打ち出さないと、どんなに素晴らしいことをしていても、無料奉仕になってしまいかねないからです。(238頁)

まさに無料奉仕に忙殺される多くの士業がうなずくところではないかと思う。

なお、商品化するときには、その商品化が自己満足にならないよう注意する必要があるとのことだ。それが誰にとって何の役に立つのか、なぜその代金を払うのか、なぜあなたでなければならないのか、を明確にすることが大事だとのことだ。

伝わらなければ報酬はもらえない

そのコンサルタントがどれだけ専門的な知識や技術を持っていても、その価値がクライアントに伝わらなければ、報酬はもらえない。

ですので、知識や技術だけでなく、表現力や観察力も高め、価値を見える化することが大事だということのようだ。

実際、年間報酬1000万円未満の経営コンサルタントに聞いてみるとわかりますが、ほとんどの場合、「あなたのクライアントは、なぜあなたの望む報酬額を支払っても、それ以上のリターンを得られるのか?」を明確に説明できないのです。(28 頁)

何と比べられるかは自分で決める

クライアントへの要望は「先に言えば説明、後で言えば言い訳」(158頁)

料金を説明する際、クライアントが「税理士の顧問みたいなものかなぁ。税理士だと月3万円~5万円くらいだから、コンサルタントもそれくらいかなぁ。」と考えていた場合、「月額15万円です」と言うと、「高っ!」となる。

しかし、先に「会社のNo.2の幹部を社外で採用するようなものだ」と説明していれば、「幹部の役員報酬だと50万円~100万円くらいはするから、コンサルタントもそれくらいはかかるのかなぁ。」となり、そこで「月額15万円です」と言うと、「安っ!」となる。

つまり、何と比べられるかを相手任せにせず、自分から提示することが大事だということのようだ。

もっとも、これをテクニックとして口先だけで言ってもうまくいかず、実態が伴っていなければ、かえって失望や怒りすらもたらすので、自分のあり方をきちんと整えておくことが大前提であると著者は注意喚起する。たしかに、「会社のNo.2の幹部を社外で採用するようなものだ」と言っておきながら、全然幹部のような価値をもたらさなければ、だましたな!と怒られて当然だ。

どのように始め、どのように軌道に乗せるか

著者は、どのようにしてクライアントの信頼を得て、依頼を獲得していくか、ということについても、自身の経験を踏まえた様々なヒントを本書に盛り込んでいる。

なぜお前なのか?

著者は、こんな残酷な真実を突きつける。

社長、とりわけビジョンに向かって向上心のある社長というのは、基本的に「人に上から目線で教えられたくない」人種だと僕は思っています。
だからこそ、「何を言われるか」も大事ですが、それ以上に大事なのは、「誰に言われるか」なんです。つまり、「この人の話なら聞いてみたい」と思わせる正当性が重要なんです。(73頁)

つまり、「自分にそのことを語る資格はあるのか?」という正当性を意識するようになったんです。(75頁)

そのため、なぜ自分なのかという正当性を説明できるようになれ、ということなのだが、これは、言うは易く行うは難しというヤツだ。特に経験が少なければ少ないほど難しいが、残酷な真実から目を背けず、考え抜く必要があるということのようだ。

アドバイスしない

著者は、滅多にアドバイスしないそうだ。

世の中のコンサルタントでアドバイスする人はたくさんいます。でも僕は、滅多にアドバイスをしません。(114頁)

上述のように、経営者は人に上から目線で教えられたくない人が多いので、特に若くして独立した著者が上から目線でアドバイスしても誰も聞いてくれないということなのでだろう。大前研一のような大御所であれば別だろうが、そうでなければ、年齢にかかわらず、上から目線での助言が歓迎されるようになるのは難しく、そのような状態を目指すべきではないのかも知れない。

著者が述べる著者のスタンスは、むしろ、クライアントと一緒に寄り添いながら問題解決をする姿勢に近いものがある。その場合のコンサルタントの存在価値は、適切な質問をしたり、新たな着眼点を提供したりしながら、問題を認識し、言語化・明確化し、深く検討し、解決していくことをお手伝いすることにあるようだ。

コンサルタントの仕事は、クライアントの状況を正しく把握するのが、仕事の8割だからです。状況を正しく把握し、クライアント本人とも共有できたら、その時点で8割は解決したようなものです。(116頁)

お悩みトップ3と解決策を言えるか?

著者は、独立後3か月で4社から依頼を受けることができたそうだ。その理由として述べているところをみると、最初のターゲットをきちんと選んだということもあるが、面談の際に社長に気持ちよくしゃべってもらった上で、

「社長、これだけ順調にいっていると、悩みなんか、ないですよね?」(84頁)

と言って、お悩みを引き出していたそうだ。 

コンサルタントは問題解決が仕事ですので、問題があると言ってもらわないと始まらない、ということなのだろう。

問題解決が仕事である以上、お客さんがどんな問題を抱えているのか知っておくことは非常に大切だとのことだ。

みなさんが対象とする見込み客のお困りごとトップ3を明確に言えるようにしておくことです。これは営業で成功するにはとても重要です。(90頁)

その上で、そのようなお困りごとに対して、このような解決策がある、このような解決例がある、ということを話せば、興味をもってもらえること間違いなし、ということのようだ。 

過剰な期待や誤った期待を持たれないようにする

著者は、顧客に誤った期待を持たれないようにすることが、サービスの質の向上と同じくらい重要だという。

「サービスのクオリティの向上に努める」っていうのはもちろん大切ですが、それと同じくらい重要なことです。
それは、「事前期待をマネジメントする」発想を持つ、ということです。(202頁)

これはトラブルの原因としてよく見聞きする「あるある」だが、あらためてこう明示的に注意喚起する指摘はあまりないので、有益な指摘だと思われる。 

その他にもヒントが盛り沢山

他にも、「成果を振り返る」「踏み込んだ質問をすることを予告しておく」などなど、クライアントとの信頼関係を構築して依頼を受けていくために重要な様々なヒントが本書に盛り込まれている。

ビジネスモデルを確立する

年間報酬3000万円超の独立系コンサルタントを目指すためには、「見込み客 ⇒ 顧客化 ⇒ リピート ⇒ 拡散」という流れが継続する仕組み(ビジネスモデル)を確立することが必要だとのことだ。

本書では、「顧客獲得型セミナーモデル」「紹介システムモデル」など、様々なパターンのビジネスモデルが紹介されているが、なかでも、著者自身が採用している「営業のじょうご構築モデル」は非常に示唆に富み、参考になる。

著者は、年々少しずつ「営業のじょうご」の厚みを増していったそうだ。その結果、独立2年目の著者の「営業のじょうご」は、

自分主催の飲み会

⇒ クライアントや知人の紹介

⇒ 個別コンサル

だったものが、独立14年目には、

メルマガ、ブログ、FacebookツイッターUstreamYouTube
⇒ ホームページ
⇒ 本、CD&DVD教材
⇒ セミナー、ビジネスモデル構築合宿、ジョイントベンチャー企画
⇒ 電話顧問サービス
⇒ No.1コンサルタントスター養成塾、キャッシュフローコーチ養成塾
⇒ 個別コンサル、VIP合宿プログラム

というものになっているそうだ。

こういう仕組みを確立するのが大事だということで、非常に考えさせられる。

コンサルタント・士業者には必読の書

以上のほかにも、本書には、コンサルタントや士業にとって非常に参考になる内容がたくさん盛り込まれている。
著者が「読むたびに新しい発見があるようにつくり込みましたので、少なくとも3回以上は読み返してお楽しみください。」(288頁)と述べるとおり、何度も読み返しながら考えるのにお勧めの本である。